JSIMA校正・検査認定制度の紹介
認定事業運用開始の背景
測量機器使用者各位におかれて、ISO 9000シリーズで求められる、検査、測定及び試験装置の管理のための、測量機器の性能基準を明確にする事や、校正・検査などの標準化の必要性が高まって参りました。
しかし、規制緩和に沿って測量機器関係の工業規格(JIS規格)が変更され、皆様の指針となる管理基準がなくなったため、日本測量機器工業会ではISO 9000の計測管理のための団体規格JSIMAを作成し、その普及活動を積極的に行ってまいりました。その結果、JSIMA規格はなくてはならない測量機器の管理資料として支持され広く普及してまいりました。
JSIMA規格が広く普及するにつれ、JSIMA規格に基づく校正・検査が、一般販売・修理事業者の方々にも採用されましたが、校正・検査の方法や証明書等の発行については、販売店等の自主性を尊重、お任せしていたため、必ずしも工業会の規格や規定に基づかない校正・検査も行われる事態が見受けられます。そのため各販売店・修理事業者の対応にかなりの差が生じ、検査依頼者より校正・検査教育の徹底や、指導強化を指摘される事態となってまいりました。
この度、日本測量機器工業会と製造事業者が協力し、新たに「JSIMA校正・検査認定制度」を制定し、JSIMA規格に基づく校正・検査を、より信頼のおける、内容の伴ったものとする制度を制定、2005年1月1日より運用を開始しております。
認定制度の概要
この制度は、JSIMA規格に基づく校正・検査事業を行う販売・修理事業者等で、工業会の定める検査資格者と検査機器を有し、かつ必要な教育を受け認定された事業者には、工業会のJSIMA規格に基づいた校正・検査認定事業者として認め、工業会の定める書式に基づく証明書を発行する事とし、本認定事業者は、工業会会員及び賛助会員を対象として運用します。
- 認定事業者は、JSIMA規格に基づいた校正・検査を「JSIMA規格」及び「教育実習マニュアル」と、別記条件等に基づき、全国統一された内容で実施します。
- 認定事業者は日本測量機器工業会ホームページ又は会員名簿で公開します。
認定制度の主な内容
この制度は、JSIMA規格に基づく校正・検査事業を行う販売・修理事業者等で、工業会の定める検査資格者と検査機器を有し、かつ必要な教育を受け認定された事業者には、工業会のJSIMA規格に基づいた校正・検査認定事業者として認め、工業会の定める書式に基づく証明書を発行する事とし、本認定事業者は、工業会会員及び賛助会員を対象として運用します。
- 1. 検査責任者及び検査員
- 測量機器の検査実務3年以上の経験を有した者で、工業会が定める「教育実習マニュアル」に基づき研修を受け認定された資格者により、校正・検査を行います。
- 2. 校正・検査設備
- 工業会が定める「校正・検査認定事業者用検査設備及び性能基準」に基づく校正・検査設備を設置し、校正・検査を行います。
- 距離測定用実用標準機は、工業会検定センターで1年毎に定期的に校正を受けたものを使用します。
- 距離標準については、国家標準につながるトレーサビリティ体系に基づく管理体制を構築しています。
- 3. 校正・検査の対象機種
- 一般認定事業者は「レベル、セオドライト」及び「トータルステーション」より開始します。 現在「レーザ測量機」、「GNSS(GPS)測量機」が製品区分として追加認定されております。
- 4. 校正・検査証明書の種類
- 依頼者の要請に基づき、認定事業者の発行する証明書は工業会の定める書式と内容を記載した「校正証明書」と「校正結果」、及び「検査成績書」を発行します。※但しGNSSは、検査成績書のみ
- 5. 発行する証明書書式の内容
- JSIMAのロゴと一連番号を付した偽造、複写不可の用紙を使用します。
- 校正・検査結果と検査責任者・検査員・認定番号を明記します。
- 書式は、許可なく変更したりしてはならないとします。
- 6. 認定事業者及び検査認定資格者の更新・監査
- 認定更新は3年毎とし、その都度再審査及び最新の技術取得教育等を実施します。
その間適宜、監査を実施します。
認定事業者によるJSIMA校正・検査証明書のメリット
認定事業者による校正・検査の結果、JSIMA規格にそった全国統一した校正・検査が行なわれ、信頼性が向上、安心して校正・検査を依頼して頂けます。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 工業会の定める「校正・検査用設備基準」・「検査用教育マニュアル」に基づく校正・検査が実施され統一化されます。(従来は販売店独自の設備や検査法に基づく検査の実施)
- 信頼の於ける認定事業者の校正・検査が受けられます。
- 全国に認定事業者があるため、全国統一された校正・検査結果が得られます。
- 校正・検査の結果は、統一された証明書書式で発行されます。
- JV等で異なった企業間でも測量機器管理の統一化が容易となります。
- 連番を付したJSIMA書式により、校正・検査結果の追跡調査(トレース)が容易となります。
- 距離標準機の基準が統一され、且つ標準機の校正を工業会が実施することにより精度の統一化が進みます。
- 3年毎の認定更新制度により、更新時の審査実施による信頼性確保及び、更新時の再教育により常に新しい技術向上が可能となります。
- JSIMA認定事業者と非事業者との識別が容易となり、検査依頼者が認定事業者の選別が可能となります。
認定事業者の校正・検査料金について
校正・検査料金の現状
現状の校正・検査料金は設備や検査員がいないにも係わらず証明書の発行や、内容の伴わない検査等により、その結果不適切な料金として放置されてきた経過があります。
今後の校正・検査料金について
今後は、認定事業者による適正な校正・検査を行うことになりますので、校正・検査を依頼される事業者も適正な料金の支払いに協力をお願いします。
JSIMA校正・検査による作業内容について
- JSIMA指定による教育実習及び設備等の審査
- 認定資格条件に適合且つ教育を受けた検査員による検査の実施
- 「検査用教育マニュアル」に基づく正しい検査の実施
- 距離標準に適合し、且つ統一された校正手順による校正済み距離実用標準機による校正(将来は国家標準につながるトレーサビリティ体系に基づく管理体制に移行)
- 距離実用標準機の1年毎の校正実施
- 証明書の統一化と特殊用紙(連番付記・コピー防止)による追跡可能で、規格に基づいた漏れのない校正・検査結果の記載実施
- 3年毎の認可更新の義務化(再審査・再教育の義務化による質の維持向上)
認定事業者の公開
全国で300社を超える認定事業者が参加しております。
認定事業者は工業会のホームページと会員名簿で公開し、定期的に見直しを行います。